長介の髭 消えないままの痛み

犬と本と漫画、映画にドラマ、ときどきお出掛け。消えない傷を残して、前に歩む毎日。

30年の時を超えて・・・

ロバート・A・ハインラインの名作『夏への扉』を読みました。

前に読んだのは学生の時なので、もう30年以上も前のことです。

その時に読んだのは、ハヤカワ文庫で、福島正実さんの翻訳だと思います。

今回は、小尾芙佐さんが訳された新訳本を読みました。

残念ながら、昔の文章を覚えていないので、比べることは出来ませんが、

ピートの本名?が、審判者ペトロニウスであること。

家にある11のドアは、すべて外に出ることが出来るなど、

幾つかの発見?あるいは再発見?がありました。

 

今から30年前と言えば・・・1991年、平成3年です。

東京都庁が新宿に移転し、世の中はバブル崩壊の直前でした。

相撲では若貴ブーム千代の富士が引退した年でもあります。

総理大臣が、海部俊樹から宮澤喜一へ交代して、

東京メトロ南北線大江戸線が、今より短い区画で開通しました。

 

スマホどころか、インターネットも携帯電話も、

まだまだ一般には、ほとんど普及しておらず、

パソコンよりも、もっぱらワープロが使われていました。

 

前回の映画の時にも書きましたが、

ロバート・A・ハインラインが原作を書いたのが、

さらに34年前(今から60年以上も前です!)

福島正実さんの翻訳本が、日本で出版されたのも同じころです。

 

何度火傷しようと、人を信用しなければならないときがあるんだ。

そうしなければ、洞窟の隠者になって片目を開けたまま眠るはめになる。

 

この物語のテーマって、貫井徳郎さんの最新刊と同じでした。

技術は間違いなく進歩していますが、果たして人間の心はどうでしょうか?

それでも、ピートのように諦めなければ、

どれかひとつは必ず、“夏への扉”なのだという信念を曲げなければ

今日よりは、明日が少しずつ良い日になる。

 

そう、ピートが正しいのだとぼくは思う。