長介の髭 消えないままの痛み

犬と本と漫画、映画にドラマ、ときどきお出掛け。消えない傷を残して、前に歩む毎日。

罪と罰(その4)・・・つみびとの歌

あらためて、人は何故罪を犯すのか?どうすればその贖罪が出来るのか?

そのことを考えさせらる映画でした。有村架純さん主演の映画『前科者』を観ました。

原作は漫画ですが、映画はオリジナルの話です。

 

映画の中に、中原中也作品集が出てきます。その見開きで映される詩が、

有名な『汚れちまった悲しみ』と『つみびとの歌』でした。

 

わが生(せい)は、下手な植木師らに
あまりに夙(はや)く、手を入れられた悲しさよ!
由来(ゆらい)わが血の大方(おおかた)は
頭にのぼり、煮え返り、滾(たぎ)り泡だつ。

おちつきがなく、あせり心地(ごこち)に、
つねに外界(がいかい)に索(もと)めんとする。
その行いは愚(おろ)かで、
その考えは分ち難い。

かくてこのあわれなる木は、
粗硬(そこう)な樹皮(じゅひ)を、空と風とに、
心はたえず、追惜(ついせき)のおもいに沈み、

懶懦(らんだ)にして、とぎれとぎれの仕草(しぐさ)をもち、
人にむかっては心弱く、諂(へつら)いがちに、かくて
われにもない、愚事(ぐじ)のかぎりを仕出来(しでか)してしまう。