長介の髭 消えないままの痛み

犬と本と漫画、映画にドラマ、ときどきお出掛け。消えない傷を残して、前に歩む毎日。

レ・ミゼラブル ああ無情(その2)

以前に是枝監督の『万引き家族』について、書いた際にも引用しましたが、

ヴィクトル・ユゴー自身が書いた『レ・ミゼラブル』の序文の一部です。

 

 法と規範のもとに、社会からの批判というかたちで、

 文明とは相容れないこの世の地獄を作り出し、

 人間の宿命をずだずだにもてあそぶようなことがあるかぎり。

 貧しさにより男たちが落ちぶれ、飢えにより女が身をもちくずし、

 子どもが肉体的にも精神的にも暗い環境でのびのびと成長できないという

 三つの問題が解決されないかぎり。

 つまり言い換えれば、広い視点に立って見たとき、

 この世に無知と無慈悲が残っているかぎり、

 本書のような作品の価値は失われずにいるだろう。

 

真鍋昌平さんの漫画『九条の大罪』を4巻まで読み終わりました。

以下は、主人公の九条間人の台詞です。

 

 法律と道徳は分けて考えている

 

 法律は人の権利を守る だが命までは守れない

 

 あなたには見えなくて 私には見えてるものがある

 

 殺人を裁くのは裁判官。自殺を裁くのは閻魔大王

 仕事にはめいめいに役割があるんじゃないですか

 

九条間人は、最初の印象よりも若干、年令が行っており、

見た目の風貌や悪評に反して、実はかなり人情に厚く、

その一方で時折、とぼけた一面とともに、優しい顔を見せることがあります。

なので演じる俳優は、若手より内野聖陽さんか竹野内豊さんが良いかもしれません。

もしもTVドラマではなく、映画化されたなら、

キムタクと烏丸真司はニノという『検察側の証人』の組み合わせで観てみたいです。

壬生憲剛の配役に、前回上げた若手俳優が良いかもしれません。

なお2巻の帯に、映画監督の西川美和さんが、推薦文を寄稿していますから、

十分に可能性はあるのではないでしょうか?

 

 怪物と戦う者は自分自身も怪物になる

 深淵をのぞく時 深淵もまたこちらをのぞいている

 

作中で引用されたドイツの哲学者ニーチェの言葉です。

万引き家族』もそうでしたが、

社会の常識や規範、道徳や法律から見れば、許されないこと、

存在してはいけない人々、不快でおぞましいこと、

陽が当たることはなく、決して表に出ない闇の“怪物”や“深淵”が、

現実には存在しています。

その存在を否定して、無視して、考えない、関わらない、

見て観ないふりを続けていれば、

今の日本も世界も、幸せで豊かな世の中なんだと思います。

 

主人公の九条間人には、それを良しとしない彼自身のこだわりというか、

揺るがない信念があり、どうやらそれに繋がっている、

何らかの悲惨で惨めな過去を抱えているみたいです。

それが徐々に明らかになる今後の話の展開が楽しみです。

早速ですが、Amazonで5巻の予約しました。