罪と罰(その2)
ビッグコミックオリジナル連載中の漫画『前科者』の最新話で、
“最強の保護観察中女子”みどりさんが、“最弱の保護司”佳代ちゃんに言います。
佳代ちゃんの良い所は強さじゃない。
むしろ弱さだよ。
今の時代、強いヤツは信用できない。
弱いからこそ、みんな佳代ちゃんを信用すんだよ。
最初に読んだときには、今ひとつ腑に落ちませんでした。
二人とも、金銭を受け取ってないと嘘をついてしまったことは、非難されても仕方ないし、
直ぐに謝罪をすべきだったと思います。番組降板や一時的な謹慎もやむを得ないかもしれません。
しかし、そうであったとしても、二人が犯した“罪”は、ここまで追い詰められて、
社会的に抹殺されるほど厳しい“罰”を受けるようなことなのでしょうか?
人が生きていく限りは、一度も過ちを犯したことがない人はいません。
時には“魔が差す”こともあります。問題は、その後、どのように行動するかだと思います。
宮迫さんや亮ちゃんのように、名声があって、いくつものTV番組のレギュラーを務めて、
相方や関係者に対する責任がある立場であれば、尚更だと思います。
だからこそ、自分自身の“弱さ”と正直に向き合うことは、勇気がいることなんだと思います。
自分は同じ弱さを抱える人間として、宮迫さんと亮ちゃんを、これからも応援したいと思いました。
明日の記者会見で、はたして、吉本興業という会社が、弱い人間を抱え込んで面倒を看る会社なのか、
それとも、弱者を切り捨てる会社なのか、注目したいと思います。
嘘は常に許されるべきものだ。嘘は愛すべきものだ。何故なら真実を導くから。
私の欲しいのは金ではなく、また金の力でもない。
金の力で得られるもの、また、その力なくしては、どうしても得られないものが必要なのだ。
いったい人間は何を最も恐れてるだろう?
新しい一歩、新しい自分自身の言葉、これを何よりも恐れているんだ。
今の時代、“強い者”=金の力、権力を持つ者だと、みどりさんは言ったかったんだと思います。
人は“嘘”や“過ち”“弱さ”を認めることで、新しい自分を知ることがが出来ます。
その時には、この社会も、まだまだ捨てたもんじゃないと、実感が出来ると思います。
新しい生活は、ただ得られるものではなく、それははるかに高価であり、
それを手に入れるには、将来にわたる大きな献身によって償っていかなければならない……
しかも、もう新しい物語ははじまっている。ひとりの人間が少しずつ更生していく物語、
その人間がしだいに生まれ変わり、ひとつの世界からほかの世界へと少しずつ移りかわり、
これまでまったく知られることのなかった現実を知る物語である。
これはこれで、新しい物語の主題となるかもしれないーしかし、わたしたちのこの物語は、
これでおしまいだ。