長介の髭 消えないままの痛み

犬と本と漫画、映画にドラマ、ときどきお出掛け。消えない傷を残して、前に歩む毎日。

“羊たちの沈黙”

劇場の大きなスクリーンで、久しぶりに映画を観ました。まるで、ドキュメンタリーのようにリアルで、最初から終わりまでずうっと続く緊迫感から、観ている間は胃がキリキリしました。
その映画は、松坂桃李さん主演の『新聞記者』です。

この国の民主主義は、形だけで良いんだ

私たちは、このままでいいんですか?

もう一人の主演は韓国のシム・ウンギョンさん。たどたどしい日本語の演技が、逆に真実を追い求めて探し続ける“新聞記者”の一途さを、見事に醸し出していました。さらに脇を固める北村有起哉さん、田中哲司さんの重厚な演技が秀逸でした。果たして、ラストは…その後どうなったか気になります。観た人、それぞれに違う感想や結末を抱くことになると思います。エンドロールが始まり、音楽が流れるまでの数秒間の間、真っ黒な画面と沈黙が長く感じて、重く息苦しいです。

ネタバレは避けますが、物語のキーワードは「ダグウェイの羊」です。
マスコミやネットの情報に操られて、右往左往する“国民”、それとも“国家の安定”のために、身を粉にして働いて、黙って死んでいく官僚たち。果たして、どちらが“羊”なのでしょうか?

本作品の原作はなく、ストーリーはオリジナルだそうですが、原案は東京新聞の記者である望月衣塑子さんの同名のノンフィクション新書だそうです。こちらは未読ですが、是非、読んでみます。