ピュアな心 心美しき者?
長谷川博己さん主演のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』も、残り4回となりました。
先週放送の『平蜘蛛』では、
あまりにも広すぎる安土城の大広間で、光秀と染谷将太さん演じる信長の対面、
そして、吉田鋼太郎さん演じる松永久秀が、光秀に仕掛けた“罠”が話題になっています。
久秀が光秀に託した言葉は、
「これほどの銘器(平蜘蛛)を持つ者には、
それ相応の覚悟がいる。いかなる折りでも、
誇りを失わぬ者、志高き者、心美しき者」
古来の中国では、為政者が“仁”のある政治を行えば、
泰平の世となり、必ず伝説の聖獣“麒麟”が現れると言われていました。
だから、『平蜘蛛』を持つ者=“麒麟を呼ぶ者”であって、
信長はそれに相応しくない。それなら、お前がなれ!
と久秀は、光秀に思いを託したのだと思います。
信長は、久秀が自ら焼いた茶器を見て、声を上げて泣きます。
間違いなく心はピュアなんだと思います。
しかし、ピュアであるが故に、他の人の気持ち、いわゆる人心が理解できない。
ピュア=心美しき者ではないと思います。
信長はなぜ、足利義昭、浅井長政、松永久秀らが離れていくのか分からない。
さらには、光秀の丹波攻めと母親の磔死、領地の没収、家康の饗宴おもてなし、
そしてついに「本能寺の変」「天王山の戦い」となります。
『是非に及ばず』
これが、信長最期の言葉と言われています。
どのような意味で、染谷さんが口にするのか、今からとても楽しみです。
物語の最後は、佐々木蔵之介さん演じる秀吉が、信長の高い志を受け継いで、
誇り高き天下人になるが、“心悪しき者”のために麒麟は現れず。
「厭離穢土 欣求浄土」の旗印を掲げ、“心美しき者”風間俊介さん演じる家康が、
いずれは麒麟を呼ぶことを暗示したラストを予想します。
なお、どうでもいい余談ですが、
『蘭奢待』も『平蜘蛛』も、実際は思ってたよりも大きいのですね。
天下に二つとない名宝なので、もっと小さいと思ってました。
そもそも、官位や名品などに執着する者は、“心美しき者“ではないです。