長介の髭 消えないままの痛み

犬と本と漫画、映画にドラマ、ときどきお出掛け。消えない傷を残して、前に歩む毎日。

理想の職場がありました!

そこで働く人たちが、全員、明るく生き生きとした表情で、良い顔をしていたら、

その職場は、夢のような“理想の職場”ではないでしょうか?

 今日の夜、たまたまテレビのチャンネルを回していたら、

まさにそんな職場が、ある番組で紹介されていました。

 

その職場とは、あのスターバックスコーヒーのnonowa 国立店です。

スタッフの大半が聴覚障害者で、コミュニケーションの中心が手話で運営されています。

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スターバックス コーヒー ジャパンの水口貴文CEOは、同社ホームページで、

以下のように述べています。

「店舗のコンセプトは“Infinite Possibilities(無限の可能性)”。

 私たちパートナーの夢を店舗という形にしました。

 聴覚に障がいのあるパートナーやお客様にとって、

 ありのままの自分で居られる場所であり、

 障がいのある若者にとって夢や未来を描ける場所、

 そしてこの店舗を訪れた誰もが新たな気づきを得られる場所に

 なればと考えています。」

 

いつの日か、区役所や銀行、その他の事務所や工場などでも、

“手話しか使えない”部署が、出来たとしたら、

おそらくその職場は、“自分らしく働くことができる”職場になると思います。

ほんとうに夢のような話ですが。

 

以下の文章は、日本で初めて手話と日本語のろうバイリンガル教育の学校・明晴学園の

初代校長で元理事長、ジャーナリストの斉藤道雄さんの言葉です。

「まずは、いわゆる健常者以外の人たちは、不幸なんだという思い込みを捨てるべき。

 たとえばろう者の場合は、人生を本当に楽しんでいる人たちも多いんです。

 彼らにとっては聴こえないことが当たり前で、それを不幸だとは思わず、

 とても幸せそうに生きている。それを外から見て、

 「彼らはつらくて、大変で、不幸なんだ」と判断してしまうのは視野が狭い。

 (中略)

 ろう者のことを知りたいと思うのであれば、まずはろう文化に飛び込んでみてほしい。

 それは 聴者が大勢いる場所にひとりのろう者を招待して触れ合う、

 という意味ではありません。

 ろう者しかいない場所に、たったひとりで飛び込んでみるんです。

 すると、当たり前に通じていた音声言語が通じず、心細さを感じるでしょう。

 それはろう者が社会で感じている気持ちそのもの。

 そのように立場をひっくり返すことで、初めて見えてくるものがあると思います。」

 

是非、一度は訪れてみて、実際に体験をしてみたいと思います。

そして、斎藤道雄さんの文章には、まだ続きがあります。

「私はろう者を障害者だとは思っていません。

 もちろん、社会的にはそう分類されてしまいますが、

 私からすると彼らは「ちょっと変わった人たち」なんです。

 その変わった人たちが築いている社会に興味を抱き、面白がることで、

 いかに彼らが豊かな暮らしを送っているかがわかります。

 そもそも、みんなが同じだったらつまらないと思いませんか? 

 みんながちょっとずつ違うから、この社会は面白いんです。」

 

 斎藤道雄さんの著書には『手話を生きる 少数言語が多数派日本語と出会うところで』

があり、他に『悩む力―べてるの家の人びと』『治りませんようにーべてるの家のいま』

『治したくないーひがし町診療所の日々』(いずれも、みすず書房)などがあります。