「土砂降りの雨」と 「大きな傘」
是枝裕和監督の最新作『ベイビー・ブローカー』を観ました。
この作品は、紛れもなくもう一つの『万引き家族』の話だと思います。
冒頭は土砂降りの雨の中を、韓国の大人気歌手であるIU(イ・ジウン)が
傘も刺さずにずぶ濡れで歩いている暗い場面から始まります。
それが話が進むにつれて、画面は徐々に明るくなり、
綺麗な景色や青空が広がっていきます。
ネタバレは避けますが、かなり“救いがある”ストーリーでした。
生まれてきてくれて ありがとう
捨てられた子どもでなく 守られた子どもなんだ
是枝監督は、あるインタビューでこの映画の着想を
答えていました。その意味で、副題を付けるとすれば、
『そして母になる』なのかもしれませんね。
なお、ラストシーンも、他の是枝監督の作品と同様に
視聴者に判断を委ねるようになっています。
とても“優しい“映画でした。
綺麗事かもしれませんが、
「土砂降りの雨」のような過酷な現実にさらされたとしても、
「大きな傘」に守られることによって
すべての子どもたちが、
「自分は生まれてくるべきじゃなかった」
「自分が居ることで、他の誰かを不幸にしているのでは」
と思うことがない世界になって欲しいと思います。