長介の髭 消えないままの痛み

犬と本と漫画、映画にドラマ、ときどきお出掛け。消えない傷を残して、前に歩む毎日。

30年後、自分の相手は誰?

昨日、買った本のうち2冊を、読みました。
沢木耕太郎さん『旅の窓』
清水良典さん『2週間で小説を書く!』

沢木耕太郎さんの文章は、『深夜特急』を読んで以来、とても好きです。できたら自分も、こんな文章を書けたら良いなと、思っています。旅先で自分でもどうして撮ったか分らないような、何気ない写真に、一つ一つ文章を付けて、意味を与えていくというのが、なんだか良いなと思いました。偶然、手にした一冊でしたが、本当に“良い時間”を過ごすことが出来ました。

清水良典さんは、初読みでしたが、なんか今までの自分には無い視点から、書かれていましたので、何度か読み直して、2週間は無理でも、そのうち、自分で小説を書きたいと思います。さらに、早速、清水良典さんの『村上春樹はくせになる』を、図書館で予約してしまいました。

それと、読み掛けで、図書館の貸出期間を過てしまった、黒野伸一さんの『AIのある家族計画』も読みました。黒野伸一さんは、最近、気になっている作家さんです。『限界集落株式会社』を読んでから、いくつかの作品を読ませていただいています。AIを組み込んだドローンや人型アンドロイドが、職場の上司になったり、家で家族の一員として身体介護や家事援助をするという、近未来のお話です。
 SF小説の名作、フィリップ・K・ディック作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』へのオマージュ作品でもあり、掲げられたテーマに対しての回答だと思いました。

わたしはずうっと死ぬことを考えていた。人間以外の動物がそうであるように、アンドロイドは死を恐れない。死期が迫れば黙ってそれを受けいれ、朽ち果てていく。だけどやなり、自分という存在がなくなってしまうことが怖い。もうプーさんに会えなくなることが、たまらなく怖い。
そういえば、さっきプーさんの夢を見た。夢を見ないはずのアンドロイドが、見たというのは、わたしがほぼ百パーセント人間になってしまった証だろうか。
いや違う。思い出した・・・。わたしはやはりアンドロイドだ。人間ではなく、アンドロイドにしかできないことができるのだ。

去年観た映画の中で、自分のナンバーワンは間違いなく、『ブレードランナー2049』です。言うまでもなく、前述の『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』は、前作オリジナルの原作です。悲しいけど、美しく綺麗な映画でした。前作オリジナルの延長でもありながら、違う作品になっていたと思いました。同じドゥニ・ヴイルヌーヴ監督作品の 『メッセージ』も良かったですね。こちらは、未来ではなく異星人との遭遇を描いた映画でしたが、「夢」「記憶の断片」「家族」それと「人生の選択」がテーマでした。

さて、30年後に自分は何処で、何をして、誰と一緒に居るのでしょうか?もしかすると、自分の相手はアンドロイドかもしれませんね。
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