長介の髭 消えないままの痛み

犬と本と漫画、映画にドラマ、ときどきお出掛け。消えない傷を残して、前に歩む毎日。

大事なのは読んだことがない本ではなく、読んだ本

いつものように、図書館で借りた本を読み終えました。でも、いつもと違って、その本を即、アマゾンで注文しました。その本とは、沢木耕太郎さんの25年にも及ぶ全エッセイ集『銀河を渡る』です。

旅はもうひとつの「生」を生きるためのものだ、という考え方がある。
旅は、一時的ではあれ、「私」をここではないどこかに連れ去り、仮構の「生」を生きさせてくれるものだ、と。

昔、名作『深夜特急』を読んで以来、沢木耕太郎さんの書いた文章が好きになりました。
平易な言葉で、語りかけるような文章から、その場面の映像が、情景として浮かび上がってきます。
それを、本作でもたっぷりと堪能させていただきました。大満足です。
二十五年と言えば、自分が社会に出てからの月日と、ほぼ同じ時間なので、感慨深いものがあります。

たが、二十五年という、そう短くはないこの年月の中で、変わらなかったことがひとつある。
それは、私が常に移動を繰り返してきたということだ。ここでないどこかを求めて、というほど初々しくはないにしても、こことは異なるどこかへ行きたい、という好奇心が消え失せたことはなかった。
それが私に繰り返し繰り返し海を渡らせた。

さらに言うと、文章だけでなく、沢木さんの“生き方”というか“在り方”、にも共感を感じます。
自分がいつか“旅”に出るときに、一緒に持って行こうと思いました。

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追伸

さすがアマゾンさん!注文した翌日にはもう届きました!
装丁も良いんです。
「あとがき」に書いてありますが、表紙の絵は藤田嗣治の「小さな職人たち」というシリーズの一枚「ヴァガボンド」という作品だそうです。
自宅にある本は、すべて処分してしまって、この一冊だけをカバンに入れて、放浪するのが夢と言うより目標です。

ちなみに「ヴァカボンド」とは、Vagabond、
「一定のところにとどまるを好まず、転々と渡り歩く者。放浪者」という意味です。
宮本武蔵を主人公にした井上雄彦さんの作品の題名にもなりました。