長介の髭 消えないままの痛み

犬と本と漫画、映画にドラマ、ときどきお出掛け。消えない傷を残して、前に歩む毎日。

やっぱり自分は「村上主義者」です!

年末にWOWOWではなく、国営放送で放映された“ドラマ”を、録画してあったのを観ました。
韓国人映画監督のイ・チャンドン監督の『バーニング』です。

本来は、劇場版148分の作品が、53分も短い95分に短縮して編集され、しかも台詞は、オリジナルの韓国語ではなく、柄本時生さん、萩原聖人さん、高梨臨さんという日本人俳優たちの吹き替えでした(3人とも、それぞれの役者さんに雰囲気があっていたと思います)。
その賛否については脇に置いておいて、自分としては、十分、原作である村上春樹さんの『納屋を焼く』の世界感を、綺麗な映像と音楽で、しっかりと堪能することが出来ました。

見終わってから、すぐに本屋さんで、原作の文庫本を探して(前に持っていた本は、夏にブックオフに出してしまいました)、買い求めて、再読しました。“僕”と“彼女”の設定は、だいぶ変更されていました(“彼”は元々、謎が多いので、あまり変わらない?)、でも重要な台詞は、ほぼ原作のままでした。さらには、春樹さんらしく、ちゃんと(?)、“メタファー”や“水のない井戸”も、出てきます。

「ここに蜜柑があるって思い込まないで、ここに蜜柑がないってことを忘れたらいいの」

「時々納屋(ビニールハウス)を焼くんです」

「納屋(ビニールハウス)ですか? もちろん焼きましたよ。きれいに焼きました」

劇場版は“彼女”が居なくなった後、その先の“僕”と“彼”の話が描かれているそうです。
せっかくなので、封切りされたら、映画館にオリジナル韓国語版を観に行こうと思います。

手放しても、結局、また取り戻したくなってしまう。やっぱり自分は「村上主義者」だと思います。