長介の髭 消えないままの痛み

犬と本と漫画、映画にドラマ、ときどきお出掛け。消えない傷を残して、前に歩む毎日。

「何かを変えるのに間に合わないことなんて一つもない」

住野よるさんの『青くて 痛くて 脆い』を読みました。

以下は、冒頭の書き出しの文章です。
 
あらゆる自分の行動には相手を不快にさせてしまう可能性がある。
高校卒業までの十八年間でそういう考えに至った僕は、
自らの人生におけるテーマを大学一年生にして決めつけていた。
つまり、人には不用意に近づきすぎないこと、
誰かの意見に反する意見を出来るだけ口に出さないこと。
そうしていれば少なくとも自分から誰かを不快にさせる機会は減らせるし、
そうして不快になった誰かから傷つけられる機会も減らせると考えた。

五十を過ぎたオジサンが読んでも、題名のとおりに
“青くて”ヒリヒリ“痛くて”切ないお話です。“脆い“のは、悪くない。
脆くて、あまりに儚いからこそ、大切にしないといけない存在があります。
自分の思い通りにならないのなら、いっそ自分の手で壊してしまいます。
でも、失ってみると後悔して自分を責めます。
その繰り返しによって、人は成長していくのだと思います。
 
「成長って、弱い自分から目をそらすことじゃないと思うんだよ。
 きっと、弱かったりする自分がいてさ、
 でも人間そんなに簡単に根本は変わらないじゃん? 
 その自分をちゃんと認めて成長っていう気がする。
 認めた上で、その場所で満足だったらいいんだけど、私は違ってさ。
 だからちょおっとずつだど、怖いけど、
 っていうその『けど』っていうのの先に行けるようにしたいんだよね」
 
そして、巻末の最後の数行は…
 
声をかけようと、思った。
しかし、どうしようもない怖さが、僕を止めた。
あらゆる自分の行動には相手を不快にさせてしまう可能性がある。
傷つきたくない、怖い。
……けど。
もう一度、君と、会いたい。
(中略)
無視されるかもしれない。拒絶されるかもしれない。
無視されてもいい。拒絶されてもいい。
その時もう一度、ちゃんと傷つけ。
 
で、終わります。
 
奇しくも、30年ぶりに大学生になったタイミングに、ドンピシャのお話です。
読み終えた後、頭の中には岩崎宏美さんの『思秋期』が、
流れてきました(古くてすみません)。
 
青春はこわれもの 愛しても傷つき
青春は忘れもの 過ぎてから気がつく