人が回復するのに、締切も限界もない
たまたま図書館の新着コーナーで手にした本を読んで、心がスッキリして、軽くなりました。
前者が、“心病む母”と夏苅先生ご自身の生い立ちを綴った“自伝的内容”に対して、後者は、副題の“家族の再生”だけに留まらずに“社会的な観点”から、精神医療の歴史的経緯から本来の有り様にまで言及するなど、より拡がった内容となっています。この二作における展開と言うか、発展それ自体、夏苅先生が自分の問題に向き合っている表れであり、確固たる信念に裏付けされた“自信”や“余裕”さえ感じられます。まさに“回復”そのものです。
一人ひとりの幸せのため、本来の医療はある
この当たり前のことが、実際はどうか?“精神科医”は“患者”を“上から目線”でしか診ていない。精神医療の現場には厳然と“ヒエラルキー、ピラミッド型のカーストが存在していると、夏苅先生は指摘します。このような“当事者”からの問題提起が、ストレートにこちらの心にも伝わってきました。
人が人との出会いによってどれほど変わることができるか、回復には締切も限界もない
そのことを繰り返し、両方の本に書いています。さらには、
人が回復するには何が必要か、それが与えられないと人はどうなっていくのか、
我々は何ができるのか、支援とは何か
夏苅先生の覚悟が行間から溢れています。
最新作『人は、人を浴びて人になるー心の病にかかった精神科医の人生をつないでくれた12の出会い』も、すぐに図書館で探して読もうと思います。